観劇で感激!(トバしタイトル)
校正にかけたきり公開したつもりで完全にホコリ被り始めてた投稿です。 という訳でここから全部、1ヶ月ほど前にタイムスリップしております。
かわいい女の子だと思った?私もそう思いたかった!(オタク特有の唐突な自虐)(瞬足)(コーナーで差をつけろ)(挨拶)
どうも奏汰です。ご無沙汰っすね。
劇を観に行った話です。誰がこんなブログ書くことになると思っただろうか。
長くなってしまったので、お時間のある方のみ、暇つぶしにお読みくだされば幸いなり。
タイトルはいわゆる煽りタイトルなんですが、「感激なんて微塵もしてない」というわけではなく「感激!って感じじゃないけど普通に良かったっす」という感じです。
ところで演劇業界のお作法とか知らんのだけど、千秋楽終わってればネタバレしていいよね?
劇団ミックスドッグス
劇団ミックスドックスとは、
ミックスドッグスの結成は2011年2月。当時、東京理科大学に在学中だった作・演出家の奥田悟史が、出身サークル「劇団ポコポコ」の同期と結成した劇団です。
お芝居のジャンルは、一言でエンターテイメント。「どんな時でもあなたを元気に!」をミッションに、明日を生きるのが楽しみになる作品作りを心がけています。
(劇団公式サイト「プロフィール」より引用)
という感じで、(今回観た限りの感想で言えば)かなりパワー系の、「友情と勇気!」みたいな方針っぽいです。演出家理科大卒ってマジかよ…
演劇界隈に明るい方にしか通じない気がしますが、演劇集団キャラメルボックスさんをリスペクトしているとかなんとかで、劇風もそっちに寄っているとかなんとか(伝聞・うろ覚えなので話半分でお願いします…)。
「友人の友人が〜」というベタな縁があって、今回こちらの舞台を観劇することになりました。
『あの宇宙をもう一度』(屋根裏コスモス/幻トラベラー)
屋根裏コスモス
25歳のシュンは、気が付くと屋根裏で倒れていた。傍には、幼馴染のアカリとヒロム。 そこは、博士の屋根裏だった。10歳の頃、みんなで遊んだ場所。 マッドサイエンティストの博士、アンドロイドのハルとフランク、屋根裏コスモス・・・ 屋根裏コスモスは博士の作った宇宙船ゲームで、そこで見た宇宙は鮮やかだった。 楽しかった記憶も今は色あせ、みんなバラバラ。博士は、15年前に失踪したきり戻ってこない。 しばらくして、屋根裏コスモスが起動していることに気付く。 目の前に広がる宇宙は、あの時と変わらない。 ゲームの腕はだいぶ落ちてて、速攻ゲームオーバー・・・ と、3人を待ち受けていたのは、銃を構えた白衣の老人。博士だった。
幻トラベラー
孤独なマッドサイエンティスト、天野豊は夢で見たイメージを思い出そうとしていた。 「タイムマシンは絶対存在しないんだよ!」悪ガキ達の声が邪魔をする。 彼は昔、タイムマシンの開発を夢見る青年だった。今では、その夢を恨んでいる。 悪ガキ達は、家の裏山を秘密基地にしたようだ。小石が家に降り注ぎ、ガラスが割れる。 何かが爆発した音もした・・・シュン、アカリ、ヒロムと名乗る悪ガキ3人を追い払う中、 彼は、1人の女性が倒れているのを見つける。 身体は冷たく、呼吸はない。だが突然、女性は動き出す。 「私の名前はハル、プログラムにエラーがあります。」 彼女はアンドロイド、2235年からタイムトラベルしてきたのだ。
(劇団公式サイトより)
なんとなく読めた人もいるかもしれないんですが、これはいわゆる周回プレイものというか、同じ環境・同じ状況を別視点で描き直す、みたいなやつです。
元々は2012年に「屋根裏コスモス」だけを制作・公演していて、何度かの編纂・再演を経て、今回「劇団としての公演20回目」の節目に、新たに「幻トラベラー」を書き起こして同時公演、という事だそうです。そういうのもあるのか。
と、ここまでは事前情報。以下が実際に観劇した感想になります。
屋根裏コスモス
SF(タイムトラベル)とジュヴナイルの合いの子といった感じで、ライトオタクに言わせると「シュタインズゲート乙w」みたいな印象です(身もふたもないけど、この組み合わせはどうしてもそうなる)。ただその分、基本的な骨組みはだいぶ分かりやすいので助かった。
ダイジェスト
舞台はシュン、ヒロム、アカリの3人が気を失い倒れた状態で幕が上がる*1。
第一声は回復したシュンの「……あれ?」。
あらすじ最後の「待ち構えていた博士」というのが過去時間(シュン(小)*2のころ)の博士で、シュン(大)たちは博士のタイムトラベル実験に巻き込まれてしまったのか?でも博士の実験とは細部が違う…。あれ?試作したばかりのタイムマシンが2つ存在する…!みたいな導入。
その後、シュン(大)*3たちは「過去時間に起きる『巨大小惑星の地球衝突*4』による世界終焉」の回避を目的として博士と助手のアンドロイドたちによって過去時間に飛ばされた事が判明。
幼馴染3人と博士のそれぞれの葛藤を描きつつ、一致団結した後、実は本物の宇宙航行船だった「屋根裏コスモス(命名は幼馴染(小)たち)」を使ってワームホール爆弾的なヤツ*5を設置・起爆。世界に平和が戻った!バンザイ!未来に帰るぞ!ひゃっほー!終わり!閉廷!
みたいな話(端折りすぎ)。
感想
いや、そもそも「ゆーて小劇場劇団の演劇とか大したことないやろ、良くて高校の文化祭くらいなんと違うかー?」みたいなヌルい気持ちで行ったのもあったんですけど、予想以上に面白かったです(そもそも「高校文化祭レベル」も幅がある)。全部で20畳ないんじゃってくらいの小さな舞台で、舞台の大道具転換もなく、たった6人がわちゃわちゃしてるだけなんですけど、一度も「は?クソつまらん」とならず観終わったので個人的にはかなり評価してます(最悪かつ甘々な基準)。
展開はマジでベッタベタでベッタベタなんですけど、「ベタな王道はそれだけ面白い」という感じで、まぁこれもアリかな、という感じでした。
博士の「面白いことを突き詰めろ!」とか、良さげなこと言うやんけ的ポイントも時折ありつつ。
冒頭で「宇宙空間で航行船のハッチを開いてピンチ!」みたいな一幕があったんですけど、そこの「出口に吸い込まれるー!」的な演技が個人的に好きでした。欽ちゃんの仮装大賞的で。
個人的推しポイントは、序盤での発言が巡り巡って別のタイミングで終盤に出てくるヤツ。タイムトラベルもののお約束という感じだけど、なんとなく気に入っている。本作にも何度か登場。よい。
環境設定が「日本で屈指の辺鄙な田舎、景観だけは最高」みたいなところで、小道具が「飛騨のりんごジュース」だったのも面白かった。
逆に残念ポイントなんですけど、詰めが甘いというか。
幼馴染3人の思考が浅いというか、なんかご都合的というか(実際ご都合的なんだからいいだろという意見もあろうが)。キャラを活かしきれてない感じもありました。
さっき「それぞれの葛藤を描きつつ」と書いた辺りなんかが、かなり突然始まってしれっと解決してる、みたいな感じで、消化不良がありましたね。「ナマの感情を表現している」と言われるとそれまでなんですけど。
あと説明ゼリフ多すぎ。SFなんてそんなもんなんだけど、その割にはどうでもいい部分が多いというか、なんか余計な尾ひれがでかい気がした。
この辺は演劇慣れとかそういうお作法の問題なのかもしれません。
幻トラベラー
新作にして、「屋根裏コスモス」のアナザーストーリー(?)。屋根裏の「博士」こと「天野豊」にスポットを当てて、屋根裏で語られなかった「なぜ博士はタイムマシンを作ったのか」「未来からやってきたアンドロイド『ハル』とは何者なのか」辺りにスポットを当てたお話。時系列は屋根裏での「過去時間」の方。今更だけど、作中では過去時間は2017年って事になってました。 でも面倒だから引き続き博士って呼んじゃうね。ごめんね。
ダイジェスト
博士が夢を恨むようになったのは、同じ夢を語り合った友人、フランク・ラグランジュが突如原因不明の失踪を遂げた事が原因。以来博士は堕落した生活を送っていた。
ところが突如博士邸の裏山に現れた、自称「未来からやってきた家庭用アンドロイド*6」ハルを助けた事をきっかけに、少しずつ博士にも昔のような明るさが戻る。ハルは「昔から博士たちを夢で見て知っている」と言い、また「使命を、なすべき事をなさねばならない」としきりに言うも、肝心な部分が記憶エラーでわからない。
物語が進むと、実はラグランジュは未来にタイムスリップしていて、彼こそがハルを博士のもとにタイムワープさせた張本人だと言う。その目的は「誰もが好き勝手に過去や未来を書き換え何が真実かわからなくなった世界を修正するために、タイムマシン開発者となる博士を殺すこと」。ハルはその実行役に選ばれたのだった。しかし、ハルは自らの意思で人工知能野の電源を落とすことで実行を阻止*7。理由は「私は、博士が好き!」。
悲しみに打ちひしがれつつ博士はタイムマシンを完成、ラグランジュの元へ時間渡航。「どうしてハルを寄越した!」「君が今ここにいるからさ!」などのおなじみSF台詞の応酬を経て、「俺とお前、どちらが正しいか確かめてみようじゃないか!」的台詞*8と共にラグランジュの持つ拳銃を自信の額に寄せる博士。銃撃のような音とともに暗転。
時間はハルが裏山に出現したところまで遡る。
「お前は、ハル…?いや、俺とお前は『はじめまして』の筈だ!だが何故俺はお前を知っている!」「それは博士が諦めること無く何度もラグランジュを説得し続けた事で生まれた記憶の重なりです!」*9。
これにて物語は大団円。さあ、この完成したばかりのタイムマシンの初実験と行こう!はい、博士!
暗転の先には、気を失って倒れている未来時間のシュン、ヒロム、アカリ。
シュンが目を覚まして言う。「……あれ?」。
感想
新作の処女公演ともなれば(繰り返し再演した屋根裏に較べれば)そんなもんかという感じ。つまんないとかそんな事は無かったんだけど、まだまだアラの方が気になる、みたいな。
そもそも物語性が薄いというか、ベースとして「屋根裏コスモス」の情報が一通りあった上での「幻トラベラー」なので、ファンディスク的というか、追加シナリオ感がどうしても凄いある。
全体の流れとしてはそれなりに気に入った筈なんだけど、細部を思い出そうとするとケチばかり浮かぶので、とりあえずケチつけていきます。
- ラグランジュとハルの関係性
- 「アンドロイドであること」をキャラクター性としたハルとフランク*10への考察不足。
- 超未来時間での博士とラグランジュのやりとり
- ぽかーん、なんじゃが。
- 特に、理論的な話を一通りした後の感情を吐露するような場面で、極端に話がわからなくなった。
- 物語最終盤の「記憶」に関してのやりとり
- 突然輪廻転生感を出すな。せめてもっと伏線を敷け。ソードマスターヤマト最終話*11かよって感じだ。
- そういえば
- 物語時間軸的には「屋根裏コスモス」で幼馴染(大)に出くわす前にハルと出会っているわけで、「屋根裏コスモス」序盤で「タイムトラベラーなどありえん!」みたいなこと言ってた博士はどうなってんだ。
- と思ったけど「屋根裏コスモス」時点ではハルが超未来製とは言及されてないね。後付けかな。
- 物語時間軸的には「屋根裏コスモス」で幼馴染(大)に出くわす前にハルと出会っているわけで、「屋根裏コスモス」序盤で「タイムトラベラーなどありえん!」みたいなこと言ってた博士はどうなってんだ。
などなど、やっぱりSF関連の部分がまだまだ甘いなという感じですね。なんかSF警察みたいなこと言い出してしまった。反省。
色々書いてたら気に入ったところも思い出したのでぼちぼち書きます。
- 「博士のこと、好きなんでしょ!」とハルに言い寄るアカリ
- なんでも色恋に繋げる人間って個人的には大嫌いな部類なんですけど、10歳ってこんなもんだよなーあーおガキ様最高ー(おべんちゃら)、みたいな一幕。
- ハルとフランクが話していたと思ったら、ハルとラグランジュが問答していたシーン
- 最終カット
- 「屋根裏コスモス」第1シーンの焼き直しをする演出は正直好き
やっぱりSF考証が甘いんだよな〜俺もな〜
通して感想
- 「屋根裏コスモス」の感想でも触れたけれど、作中ところどころ「序盤と終盤で同じセリフを使いまわす」というヤツをやってて大変好みでした
SF考証が- 各劇のオープニングに突然踊りが始まるの全く意味分かんないけど好き
- 赤と緑の照明を高速点滅させててさながらポリゴンフラッシュだったんだけど、あれ大丈夫なのかな…。
- アンドロイドのハルって「HAL 9000」からのオマージュだろうか。ちょっと面白い。
- 突然脈絡なく無関係な現実世界の話をするのは脚本なんだかアドリブなんだか知らんが興醒めなので辞めろ
私は比較的貰ったものをそのまま受け取るので、割と「ふーん良いんじゃない」って言う感想でした。
でもご都合主義強すぎ…って思う所もあったなァ。なまじ、それなりに面白い話だっただけに目立つんですよね。もっと詰めるかもっと削るかしても良いんじゃないかなぁ(素人意見ですが)。
役者の(演技の)良し悪しがわからんので脚本演出ばっかにケチつけるマンになってしまった…別段悪意はないんだ…すまぬすまぬ……。
終わりに
もっと色々良し悪し思った事多い筈なんだけど痴呆キメて忘れたのでこの辺で筆を置きます。
散々言ったけどチケット代・観劇時間分の価値は見いだせたと思います。3時間3000円。
普段まったく接点がない環境だったので、大変刺激になりました。
最後に、誘ってくれた友人に感謝を。